輪講

平成9年10月から平成10年2月までの講義では、8名程度のグループがそれぞれ一冊の本を中心にテーマを決め、6時間から9時間の発表をしました。発表は一ヶ月以上の準備を経て行われ、配布資料だけで一冊の本ができてしまうようなものまでありました。工夫を凝らした発表が多く、生のままお見せできないのが残念ですが、発表の後、各グループは発表の経験を生かしてさらに内容の濃いページを制作しました。ごゆっくりご覧ください。
「奪われし未来」シーア・コルボーンほか著(翔泳社) 『奪われし未来』を読む

環境ホルモンの何がどう問題なのか?環境ホルモンとは何か?世界中から報告されている生殖異常は何を意味しているのか?環境ホルモンはどこにあるのか?どのようにしてできるのか?環境ホルモンにはどういうものがあるのか?我々はどの程度汚染されているのか?どんな影響があるのか?影響を与えるメカニズムは?動物の行動にはどのような影響を与えるか?世界はこの問題にどう取り組んでいるのか?日本はどうか?我々は今、何をすべきなのか?

最近、TV、新聞、雑誌で一躍注目を浴び始めた環境ホルモン。この問題を立花ゼミ環境ホルモン研究グループが詳細にレポートする。

『精神医学レビューNo.22 解離性障害』(ライフ・サイエンス) 精神と化学物質

精神医学に対する誤解、偏見は多い。目に見えない心というものを扱っている為、医学の中でも特殊な分野と思われたり、精神科医は精神分析を行う職業だと考えられやすい。しかし、脳内の化学反応によって心は作られているのではないかという昨今の研究から考えれば、心の病気というものは、すなわち、脳の化学反応の異常と考えることはできないだろうか。私たちはそのような考えをもとに、精神医学に接近する。また、現代精神医学をより正確にとらえるために、過去の精神医学との対比、すなわち「狂気」の時代、「精神分析」の時代の発表も行う。過去と現在を扱うことで、現代精神医学の問題を正面から見つめ、そこからどのような未来像が考えられるかを検証していきたい。

『マクナマラ回顧録』ロバート・S・マクナマラ著(共同通信社) マクナマラ補完計画

ベトナム戦争当時、アメリカ国防長官であったロバート・S・マクナマラによる『マクナマラ回顧録』が近年出版された。戦争終結から二十年以上経つにもかかわらず、この回顧録は全世界で様々な議論を巻き起こしている。
本計画は、この回顧録を契機として、アメリカにとってのベトナム戦争の意味、意思決定の困難さ、歴史の捉え方などを問い直すことを目標とする。 *このページは制作途中です。*

『日本軍の小失敗の研究』三野正洋著(光人社) 『日本軍の小失敗の研究』を読む

日本はなぜ太平洋戦争をはじめたのだろうか?そしてなぜ敗れたのだろうか?その原因、理由を太平洋戦争の中心であった日本軍に焦点をしぼり検証してゆく。調査の過程で最初に見えてきたことは、日本軍という組織が想像以上にすごい組織であったということであった。その様々な特徴からも、日本軍が当時の日本の粋を結集した組織であったことがうかがえる。しかしそれにもかかわらず、日本軍主導のもと、日本は結果的に総社会的に歴史的大失敗をしてしまった。現代社会において、良くも悪しくも日本軍から影響を受けているものは少なくないといわれている。日本軍という組織に対する多角的な失敗分析と問題発見に取り組むことから現代社会を考えていきたい。 *このページは制作途中です。*

『電脳生物たち』H.モラヴェック著 野崎昭弘訳(岩波書店) 未来社会における人間のアイデンティティ

 この輪講では、1冊の本を読み込むという形ではなく、このテーマに基づいて様々な技術的展望と倫理的課題を紹介・議論することを目的とした。
(1)人工知能の基礎的知識
人間のもつ「心」という最後の聖域に踏み込み、人工知能や人工生命、ロボットなどに人間と同じような心を作る、あるいは心があると認めるには、何が必要になるのか。この問いは、「個」の精神状態の記述にとどまらず、そのような精神状態を与える「背景」は何なのかという、より広い世界に開かれた新たな問題を生む。
(2)未来技術がもたらす生命・人間観
「人間」概念の曖昧化。クローン技術、臓器移植、遺伝子操作、バーチャルリアリティなどが人間社会にもたらす影響。 *このページは制作途中です。*

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東京大学教養学部立花隆ゼミ
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