このゼミについて

 ゼミは講義と演習に分かれる。
 講義は、96年夏学期以来の「人間の現在」の講義である。「人間の現在」の内容概略については、前年度のレジメ冒頭を参照してもらいたい。
 演習のタイトルが「調べて書く、発信する」である。96年度冬学期は、「二十歳のころ」をテーマに「調べて書く」のゼミを行ったが、今年度は、それに「発信する」と付け加えた。アウトプットの方法として、インターネットのページを作るという方法を選択したからである。
 これまでは、知的アウトプットの一般的方法は、書いたものを印刷して配布することだったが(現に、「二十歳のころ」はそうしている)、これからは、インターネットのページを通じての発信という方法が、より一般的になるはずである。
 コストが圧倒的に安い、出版社、印刷所などの手をかりずに、一人で手軽に、気軽に作れる。書店を通さず、相手の机上に直接とどけられるから、配本の手間がいらない。しかも一瞬にして世界のすみずみまで届く。
 これから、社会のあらゆる階層で、インターネットによる発信が、ごく当たり前の日常的行為となる。いい発信をすれば、一個人が世界中に影響を与えることも可能である。
 そしてインターネットでは、大量発信ができる。東大駒場の場合は、学生一人十五メガの発信容量が与えられている。一メガあったら、テキスト量でいえば、四〇〇字原稿用紙五百枚分の本(かなり大部の本だ)の二.五冊分だ。
 それだけの発信容量を持ちながら、それを有効利用して価値ある発信を行っている学生はほとんどいない。
 インターネットの歴史を見ると、アメリカであれだけ短期間にインターネットが新しいメディアとして発達した背景には、アメリカの大学の学生たちが、面白くてかつ価値ある発信をどんどんはじめ、それがインターネットの世界を拡大していったということがある。
 日本ではまだ残念ながら、インターネットのページなんてゴミとカスばかりという評がかなり当たっている面がある。
 いまこそ、この駒場のキャンパスから、インターネットの持つ可能性を存分に発揮した知的水準の高いページで次々に作って発信し、日本のインターネット社会を活性化してやろうというのが、このゼミの狙いである。
 このゼミにおいては学生たちはそれぞれに自分のやりたいテーマを見つけて(一人であるいはグループで)、自由に調べて、書き、発信を行う。その発信の総体をまとめたものを「サイバー・ユニバーシティ・駒場」と名付けている。その中身については、そちらを見ていただきたいが、インターネットは、双方向性の開かれたメディアであるから、ページを読むだけでなく、意見を寄せる、資料を送る、ページ作りを手伝うなど、積極的な参加をしていただけるとありがたい。外部の積極的参加者には、このゼミの研究生の資格を与える。参加希望者はctakasi@komaba.ecc.u-tokyo.ac.jpまでメールを送って頂きたい。

ctakasi@komaba.ecc.u-tokyo.ac.jp